マティーニのカクテル言葉が秘める「知的な愛」の真相|王者のグラスに注がれた美学と歴史
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マティーニは、政治家、作家、映画のヒーローなど、時代を象徴する男たちの傍らに常にあった。彼らのこだわりが、マティーニのカクテル言葉にある「知的」なイメージをより強固なものにしてきた。
ウィリアム・チャーチルと「究極の超ドライ」
第二次世界大戦でイギリスを勝利に導いた首相ウィンストン・チャーチルは、極端なドライ・マティーニを好んだことで知られる。彼はベルモットをグラスに注ぐことすら拒んだ。ジンを注いだグラスを手に取り、フランスの方角(ベルモットの産地)をただじっと見つめながら飲んだという伝説がある。あるいは「ベルモットの瓶を横目にジンを飲む」というスタイルは、彼の強烈な意思とユーモアの表れだった。
アーネスト・ヘミングウェイと「モンゴメリー」
文豪ヘミングウェイもまた、無類の珍しいマティーニ愛好家だった。彼が好んだレシピは、ジンとベルモットの比率が15対1という極端に強い「モンゴメリー・マティーニ」。イギリスの将軍モンゴメリーが「敵の兵力が15対1で上回らない限り攻撃しない」と主張したエピソードになぞらえたとされる。文豪の知的で破天荒な遊び心が垣間見える。
ジェームズ・ボンドと「ステアではなくシェイクで」
スパイ映画『007』の主人公ジェームズ・ボンドの定番フレーズ、「ウォッカ・マティーニを。ステアではなくシェイクで(Shaken, not stirred)」はあまりにも有名だ。本来マティーニはミキシンググラスで静かにステアして透明感を保つが、ボンドはシェイクすることで急激に冷却し、水っぽくならずに角を落とした味わいを求めた。このこだわりが、後述の「ヴェスパー」の誕生へとつながる。