本作は、2015年5月6日にリリースされた平井大のメジャー3rdフルアルバム『Slow & Easy』に収録された重要作です。当時の平井大は、2011年のインディーズデビュー作『OHANA』や2013年のメジャーデビューミニアルバム『Dream』を経て、ハワイアンテイストのアイランドポップから、より普遍的でオーガニックなアコースティック・ポップスへと音楽性を深化させていた転換期にありました。
制作の屋台骨を支えたのは、現在に至るまで平井大の数々のヒット作を二人三脚で世に送り出してきた音楽プロデューサー・EIGO氏です。関係者の証言や当時のインタビュー資料を紐解くと、制作現場ではギミックを排し、アコースティックギターの生の鳴りと平井大のハスキーで伸びやかなボーカルのダイナミクスを最大限に生かすアレンジが徹底して追求されました。派手なシンセサイザーやストリングスに頼らず、ウッドベースやアコースティックギター、パーカッションの温もりある響きを土台に据えたことで、10余年を経ても全く色褪せないタイムレスな音響空間が完成したのです。
特筆すべきは、本作が大型映画や地上波連続ドラマの主題歌といった華々しいタイアップを持たないまま、アルバムのリード曲としてじわじわと浸透していった点です。リスナー一人ひとりが自身の別れの体験と重ね合わせ、SNSのショート動画や弾き語りカバーを通じて拡散していった草の根のヒットこそが、この楽曲の持つ本質的な強靭さを証明しています。