ネット上の掲示板やSNSでは、「男はどっちに行くのが正解なのか」という議論が絶えません。現場の理容師・美容師の意見や、実際に店舗を切り替えた利用者の手記や口コミを精査すると、技術面以上に「空間に対する居心地」が満足度を大きく左右している実態が見えてきます。
都内の有名美容室に通っていた30代男性会社員は、自身の体験を次のように述懐しています。
「美容室の白を基調としたガラス張りの空間や、スタイリッシュな女性客に囲まれる環境に、どこか気後れを抱えていました。『お休みの日は何をされているんですか?』という定番の会話に合わせるのも疲れてしまい、結局、落ち着いた照明で個室風のバーバーに変えました。椅子を倒されて蒸しタオルを当てられ、カミソリでヒゲを剃ってもらう時間の心地よさは、美容室では絶対に得られない癒やしでした」
一方、20代の男性大学生からは対照的な声が聞かれます。
「地元の床屋で『短めで』と頼むと、どうしてもサイドをパツンと刈り上げられてしまい、昭和っぽい真面目な髪型になってしまうのが嫌でした。美容室に変えてからは、ニュアンスパーマやアイロンを使ったセット方法まで丁寧に教えてもらえるので、見た目の垢抜け感が全く違います」
理容師のハサミ使いは、ミリ単位で正確な直線や美しいグラデーションを作り出す「クリッパーワーク(バリカン技術)」や「平バサミでの刈り上げ」に特化しています。対して美容師は、髪の重なりや毛先の動き、ボリューム感をコントロールする「テーパーリング」や「スライシング」を多用し、柔らかいニュアンスを作ることを得意とします。利用者が抱く「床屋はカチッとしすぎる」「美容室はセットが前提で再現が難しい」という印象のギャップは、技術的なルーツの違いから生じる必然的な結果といえます。