地球沸騰化という言葉が日常に定着した列島の夏。吸汗速乾や接触冷感をうたうハイテク繊維は、サラリーマンの命綱となった。しかし、衣服が薄く軽くなればなるほど、布地は皮膚の凹凸を忠実に拾い上げてしまう。インナーを重ね着すれば暑さに倒れ、一枚で着れば輪郭が透ける。この構造的な板挟みが、長年放置されてきた男性の胸元問題を一気に白日の下へと晒し出した。
かつては「中年太りの悩み」程度に片付けられていたものが、SNSの普及と高解像度カメラの日常化によって一変した。街頭のガラスに映る自分の影、オンライン会議のふとした立ち姿。自意識のレンズを通して拡大された小さな突起は、清潔感を損なう決定的な要因として認識され始めている。