ずり這いが始まったばかりの時期、保護者から最も多く寄せられる疑問が「前ではなく後ろへ下がってしまう」「なぜか片方の足しか使っていない」という特異な動作に関するものです。
後ろに下がるずり這いの真相
前にある玩具に向かって進もうとしているのに、なぜかバックして家具の隙間に入り込んでしまう――この後ろに下がるずり這いの真相は、筋肉の発達順序にあります。
赤ちゃんの発達において、腕で床を押す伸展筋(上腕三頭筋など)は、物を手前に手繰り寄せる屈曲筋や、下肢で床を強く蹴り出す筋力よりも先に発達します。そのため、本人は前に進むつもりで床を力強くプッシュすると、作用・反作用の物理法則によって身体全体が後方へと押し出されてしまいます。これは運動機能が正常に機能している証拠であり、筋力のアンバランスが解消される生後2〜4週間ほどで自然と前進できるようになります。
ずり這い片足だけの原因とチェックポイント
もう一つの代表的な悩みが、ずり這い片足だけの原因です。片方の足だけを曲げて蹴り、もう片方の足は引きずっているように見えるスタイルは、決して珍しいものではありません。
- 利き手・利き足の影響:赤ちゃんにも使いやすい優位側が存在し、初期段階では得意な側の半身を主軸にして推進力を得ようとします。
- 体幹の側屈バランス:寝返りをよくしていた方向など、体幹の筋肉の使いやすさに左右差がある場合、片側駆動のほうがスムーズに感じられることがあります。
- 床の摩擦と環境要因:フローリングの継ぎ目や敷物の段差により、一方の足のほうが引っ掛かりやすい環境が原因となっているケースもあります。
ただし、注意すべき兆候も存在します。普段から「抱っこしたときに極端に片脚を硬直させる」「オムツ交換の際に片方の股関節だけ開きにくい」「左右の太ももの皮膚のしわの数が明らかに異なる」といった様子が見られる場合は、先天性股関節脱臼などの可能性を念頭に置き、健診時やかかりつけの小児科医に相談することが推奨されます。左右差があっても、本人が機嫌よく両手足を活発に動かしているのであれば、過度に不安がる必要はありません。