狗巻が左腕を失うに至った決定的な原因は、両面宿儺が展開した領域展開「伏魔御厨子(ふくまみずし)」にあります。
渋谷事変において、狗巻は現場で孤立した一般人の誘導や、溢れかえる改造人間・呪霊の駆除に尽力していました。「動くな」「潰れろ」といった呪言を駆使し、喉を痛めながらも市民を守るために走り回っていた姿が描かれています。
しかし、伏黒恵が命がけで召喚した最強の式神「八握剣異戒神将魔虚羅(やつかのつるぎいかいしんしょうまこら)」をねじ伏せるため、両面宿儺は最大半径140メートルに及ぶ必中効果範囲を持つ「伏魔御厨子」を発動しました。呪力を帯びたモノには「捌(ハチ)」、呪力を帯びない無機物には「解(カイ)」という無差別かつ絶え間ない斬撃が浴びせられ、渋谷の街並みは一瞬で塵芥と化しました。
狗巻はこの領域展開の境界付近に位置していたと推測されます。幸運にも即死圏内からはわずかに外れていたものの、領域の無差別な斬撃に巻き込まれ、左腕を切断されるという致命的な重傷を負うことになりました。自らの戦闘で敗北したのではなく、規格外の災害的暴力に巻き込まれた結果としての負傷でした。