「右翼のドン」が作った金が、世界の貧民を救い、難病を撲滅し、未来の研究者を育てる——この矛盾こそが、笹川家を語る上で最もスキャンダラスであり、同時に魅惑的な部分だ。福祉や教育にばら撒かれる莫大な資金は、免罪符なのか、それとも真の信念なのか。
批判者たちは常に、競艇という公営ギャンブルが生み出す膨大な富の不透明さを指摘してきた。しかし同時に、政府が手を出せない危険な現場へ即座に数億、数十億円規模の支援を投じられる組織は、日本国内に他に存在しない。善と悪、清濁を併せ呑む圧倒的なリアリズム。これこそが、良一が子孫に遺した最も強力な家訓だったと言える。