分杭峠のブームに伴い、商業的に大きな広がりを見せたのがゼロ磁場の水や各種の関連グッズです。現地周辺の水源から採取された水は、「分子クラスターが微細化し細胞に浸透しやすい」「波動が宿っている」といった宣伝文句とともに通信販売や道の駅で取引され、500mlあたり数百円から数千円の高値で流通する事例も見られます。
大手通販サイトや口コミプラットフォームにおける購入者のレビューを分析すると、評価は二極化しています。
肯定的なレビューでは、「口当たりが柔らかく常温でも飲みやすい」「朝の目覚めがすっきりした」「パワーストーンをこの水で洗うと輝きが増した」といった体験談が並びます。一方で批判的なレビューでは、「味は普通の天然水とまったく変わらない」「高額な価格に見合う健康増進効果は実感できなかった」という冷静な指摘が目立ちます。成分分析表を確認しても、南アルプスの地層で濾過された良質な軟水(硬度約15〜30mg/L)であり、水質基準を満たした清涼飲料水以上の特殊な薬理活性成分は検出されていません。
また、現地を訪れた愛好家の間で恒例となっているのが、パワーストーンの浄化です。「気場の階段」や水汲み場の岩肌にブレスレットを数時間置き、「石の曇りが取れてエネルギーがチャージされた」と喜ぶ観光客の姿が日常的に見られます。しかし、鉱物学的な観点から言えば、水晶やアゲートの結晶構造が微弱な自然磁気によって変化することは物理的にあり得ず、自然光や澄んだ空気の中で観察したことによる視覚的な印象の変化に過ぎません。