大正ロマン洋装の真実|和洋折衷が咲かせたモダン精神と100年目の再評価
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明治時代の洋装は、主に政府高官や軍人、鹿鳴館に集う一部の上流階級に限られた「制度としての国家的な模倣」だった。しかし、大正時代に入ると状況は一変する。洋装は特権階級の特権から、都市部の庶民や若者たちの「個性を表現する手段」へと開花していった。
背景には、第一次世界大戦後の経済変動と、それに伴う都市化がある。工場やオフィスで働く女性が増え、従来の重く動きにくい振袖や帯締めは、多忙な現代生活にそぐわなくなっていた。
ここで誕生したのが、着物を大胆にアレンジする「和洋折衷」の知恵だ。洋服の生地を取り入れた化学染料による鮮やかな「銘仙(めいせん)」の着物に、西洋風の丸襟ブラウスやレースを合わせる。それは単なる西洋の真似事ではない。日本の伝統的な色彩感覚と、ヨーロッパから届いたアール・ヌーヴォーやアール・デコのモダンな線が交差した、まったく新しい美意識の誕生であった。