写真集に命を吹き込む造本家・町口覚|手触りと美学が世界を魅了する理由
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町口覚の名を決定づけたのは、日本を代表する巨匠たちとの協働である。日本写真界の重鎮・森山大道、圧倒的な色彩で人々を魅了する蜷川実花、妖艶で静謐な世界を描く野村佐紀子など、強烈な個性を持つ写真家たちが彼に全幅の信頼を寄せる。
森山大道のモノクローム表現において、黒の解像度と深みをどこまで印刷で引き出せるか。町口はプリンターや印刷職人と現場で議論を重ね、インクの練り具合から調整を指示する。森山の「アレ・ブレ・ボケ」と称される粗い粒子感を、網点(スクリーントーン)にどう落とし込むかという極限の攻防が繰り広げられた。
互いのプライドが衝突する本づくりの現場
町口の作業はイエスマンとしてのデザインではない。写真家の提示した構成を根底から崩し、まったく別の並び順や見開きを提案することもしばしばだ。写真家とデザイナー、二つの鋭利な魂がぶつかり合うことによってのみ、研ぎ澄まされた1冊が完成する。