手や足の皮膚は、身体の他の部位と比べて角質層が非常に厚く、皮脂腺が存在しない一方で汗腺(エクリン腺)が密集しているという極めて特殊な構造を持っています。異汗性湿疹(汗疱状湿疹)は、この表皮内部に直径1〜3ミリメートル程度の透明で硬い手のひらや指先の水ぶくれが多発する炎症性皮膚疾患です。
かつては「汗が体外へ排出されずに皮膚内部へ滞留すること」だけが原因と考えられていたため「汗疱」と名付けられました。しかし、近年の皮膚組織学的研究や臨床データの蓄積によって、汗の貯留そのものだけでなく、角質層のバリア破綻と局所の免疫反応が複雑に連動したアレルギー様炎症であることが明らかになっています。
典型的な経過では、まず皮膚の深部から湧き上がるような強い掻痒感(そうようかん)とともに水疱が出現します。水疱自体は無菌性であり、数日から2週間程度で乾燥して茶色褐色化し、やがて鱗屑(りんせつ=皮むけ)となって剥がれ落ちます。問題は、このサイクルが一度で終わらず、慢性的に波を打つように再発を繰り返す点にあります。