インターネットの口コミサイトやSNSで「市立甲府病院」と検索すると、感謝に満ちた声が並ぶ一方で、「受付から会計まで半日潰れた」「医師の説明が事務的だった」といった厳しい指摘が散見されます。こうしたネットの反応を目にして、受診をためらう市民も少なくありません。
しかし、こうしたネガティブな評判の構造を解き明かすと、ある明確な傾向が浮き彫りになります。不満を抱く投稿の多くは、事前の予約や紹介状を持たずに初診で飛び込んだ軽症患者に集中しているのです。
市立甲府病院は、地域医療法に基づく「地域医療支援病院」に指定されています。これは、地域のクリニック(かかりつけ医)と役割を分担し、入院加療や高度医療、救急医療に特化すべき施設であることを意味します。現場では重症度に応じた優先順位付け(院内トリアージ)が厳格に行われるため、急を要さない受診者が後回しになり、待ち時間が2〜3時間を超えるケースが発生します。
「待たされた挙句に診察は数分で終わった」という利用者の生の声は、高度急性期病院の特性と患者側の期待値のミスマッチから生じる典型的な摩擦です。一方で、入院治療や救急搬送、難治性疾患で紹介受診した患者の手記や退院後アンケートでは、「当直医の迅速な判断で命が助かった」「看護師が夜通し励ましてくれた」という極めて高い満足度が記録されており、受診形態によって評価が真っ二つに分かれるのが実態です。