インターネット上の家庭菜園情報には、いまだに前時代的な都市伝説が散見されます。代表的な3つの誤解を正しくアップデートしておきましょう。
誤解①:「葉が萎れている切り苗は不良品である」
ホームセンターの店頭でぐったりと倒れている苗を見て、購入を躊躇する人が後を絶ちません。しかし、前述の通り適度にしんなりした苗は発根待機状態にあります。危険なのは「茎が黒ずんで腐敗している苗」や「カラカラに乾燥して葉がパリパリに砕ける苗」であり、茎に弾力がある萎れ苗はむしろ定植後の立ち上がりが極めて優秀です。
誤解②:「大きければ大きいほど良い芋である」
家庭菜園でよく自慢されるのが赤ん坊の頭ほどもある巨大なさつまいもですが、食用としての評価は低くなります。肥大化しすぎた芋は内部に繊維が走り、スジっぽく糖度も上がりにくいためです。焼き芋や料理で最も重宝されるのは、200〜300g前後の均整の取れたサイズです。この理想サイズを狙うためには、垂直植えではなく水平植えや船底植えで適度に芋の個数を分散させるのがセオリーです。
誤解③:「収穫したてが一番甘くて美味しい」
掘り立てのさつまいもをその日に焼いて食べ、「甘くない」と落胆する初心者が多く見られます。さつまいもに含まれるデンプンが、酵素(β-アミラーゼ)の働きによって甘味成分である麦芽糖へと変化するためには、収穫後13〜15℃前後の暗所で2週間から1ヶ月程度保管する「追熟」のプロセスが必須です。掘り立てはデンプンが糖化していないため、水っぽく甘みを感じられないのは植物学上当然の反応です。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
さつまいも栽培は極めて省力的な作物である反面、環境による向き不向きがはっきりと分かれます。
【さつまいも栽培に極めて向いている人・環境】
- 平日は仕事で忙しく、週末しか畑の管理や水やりができない人
- 痩せた土地や砂質の土壌、肥料分の少ない区画を持て余している人
- 秋に子どもと一緒に芋掘り体験を楽しみたいファミリー層
【栽培に慎重になるべき人・対策が必要な環境】
- 粘土質で雨が降ると何日も水が引かない極端に水はけの悪い土壌(高畝と土壌改良が必須)
- 前作で大量の牛糞堆肥や化学肥料を投入した肥沃すぎる土地(つるボケリスクが極大)
- 日当たりが1日4時間未満の半日陰環境(つるばかり伸びて根が肥大化しない)