いくら保存技術を尽くしても、購入時点で鮮度が落ちていては旨味を蘇らせることはできません。宮城・三陸の老舗鮮魚店「山内鮮魚店」の目利きノウハウや豊洲仲卸の鑑識眼に基づき、まずは店頭で選ぶべき「極上サンマ」の基準を押さえましょう。
確認すべき優先ポイントは以下の4点です。
- 口先の黄色さ:下あごの先端が鮮やかな黄色(オレンジ色)をしている個体は、水揚げから間もない証拠。鮮度が落ちるとくすんだ茶褐色に変化します。
- 背中の盛り上がりと青藍色:頭の後ろから背中にかけて肉厚に盛り上がり、青黒い金属光沢を放っているものは脂の乗りが抜群です。
- 目の透明度:黒目が澄んでおり、周囲に充血や濁りがないものを選びます。
- 全体のハリ:尾を持ったときにピンと立ち上がる程度の硬度がある個体が理想的です。
良質な個体を確保したら、速やかに下処理へと移ります。魚臭さの根本原因は「表面のぬめり」「酸化した血」「内臓の残りかす」です。以下の手順を踏むことで、調理時の仕上がりが劇的に変化します。
まず、サンマの表面を冷水(または薄い塩水)で手早く洗い流し、雑菌や酸化皮脂を落とします。続いて、用途に応じて頭を落とし、腹に浅く切り込みを入れて内臓をかき出します。ワタを傷つけずに抜く「つぼ抜き」も有効です。内臓を取り出した後は、中骨に沿って残っている「血合い(腎臓)」を流水と歯ブラシや指先を使って完全に洗い流します。この血合いを残すと、冷凍中に強い生臭さへと変わってしまいます。
最も重要なのが、下処理直後の水分管理です。流水で洗ったサンマは、清潔なキッチンペーパーで腹腔内まで徹底的に水気を拭き取ります。ここで軽く振り塩をして10分ほど置き、浮き出てきた余分なドリップ(水分)を再度ペーパーで拭き取る「脱水」を行うと、身が引き締まり、臭みの原因物質を大幅に排除できます。