法的なハードルがこれほど高いにもかかわらず、ネット空間では政治家や言論人、特定の団体に対して「外患誘致罪で告発すべきだ」という過激な投稿が後を絶ちません。過去には、特定の弁護士や公職者に対して大量の「外患誘致罪の告発状」を送付する騒動が起き、社会問題に発展した事例もありました。
ネットの反応としてこうした声が噴出する背景には、「日本を危うくする裏切り者には最大の罰を与えたい」という感情的な処罰感情があります。しかし、前述の通り、どのような売国的な発言や批判的行動であっても、外国軍を動かして日本を軍事侵略させる企てがない限り、本罪が成立することは法的に100%あり得ません。
実務上、警察や検察に外患誘致罪の告発状が持ち込まれても、犯罪の構成要件を明らかに欠いているため「不受理」として突き返されるのが実情です。法的な根拠のない告発運動は、むしろ告発者側が名誉毀損罪や虚偽告訴罪、民事上の不法行為責任を問われる重大なリスクをはらんでいます。