「一体なぜこれほど激しく燃え上がったのか」という疑問に対し、警察および消防の実況見分から浮かび上がる主な出火原因は、大型トラックを中心とする車両の機械的トラブルや足回りの異常発熱です。高速道路交通安全協議会等の統計データによれば、高速道路上における車両火災の約6割は、タイヤのパンク・バーストによる摩擦熱、ブレーキの引きずり(フェード現象)、オイル漏れによる排気管への引火に起因しています。
特に長距離輸送を担うトラックは高負荷状態で連続走行するため、わずかな空気圧不足や軸受け(ベアリング)の破損が数百度の熱源と化し、積載物やタイヤへ引火するケースが後を絶ちません。相模原八王子トンネルのような勾配を伴う区間では、エンジンやブレーキへの負荷が局所的に高まることも誘因の一つです。
さらにトンネル内火災の被害を甚大化させるのが、密閉空間特有の「煙の拡散速度」です。火災発生からわずか数分で有毒ガスを含む黒煙が天井付近を這い、視界をゼロに奪います。後続のドライバーは出火点を目視確認できないまま煙に巻かれるため、出火原因の初期究明とともに、現場では極めて危険な避難判断が迫られることになります。