トラブルを最終的に解決し、将来の蒸し返しを完全に断ち切るために欠かせないのが「求償権の放棄」です。特に不倫トラブルの示談交渉において、被害者へ支払う慰謝料の減額と引き換えに求償権を放棄させる手法は、紛争を一回的に終結させるための常套手段となっています。
もし求償権を放棄させずに示談金を支払うと、支払った加害者がもう一方の配偶者に求償し、結果として夫婦の共通家計からお金が出ていくという「堂々巡りのトラブル」が発生します。合意書には、明確な放棄条項を組み込まなければなりません。
実務で広く利用される標準的な合意条項の雛形は以下の通りです。
【求償権放棄条項の記載例】
第〇条(求償権の放棄)
乙(支払者)は、本合意書第〇条に基づき甲(被害者)に対して支払う金銭に関し、甲の配偶者である丙に対して有する一切の求償権を確定的に放棄し、今後いかなる名目においても丙に対して金銭の支払いを請求しないことを誓約する。
第〇条(清算条項)
甲及び乙は、本合意書に定めるもののほか、甲乙間に何らの債権債務が存在しないことを相互に確認する。
単なる「相互に債権債務がないことを確認する」という清算条項だけでは、第三者である配偶者への求償権まで網羅しきれないリスクが残ります。当事者関係を具体的に特定した放棄条項を明記することが、将来の紛争を防ぐ防壁となります。