口に入れた瞬間の不快なジャリ感を完全に防ぐには、正しいしじみの下処理と臭み消しが欠かせない。スーパーで購入したパックに「砂抜き済み」と記載されていても、家庭で再度の砂抜きを行うことが濁りや臭みを消す絶対条件となる。
基本の砂抜き:塩分濃度1%の汽水環境を再現する
しじみ(主にヤマトシジミ)は淡水と海水が混ざり合う汽水域に生息している。真水に浸けると浸透圧の差で弱ってしまい、旨味成分が外へ逃げ出す原因になる。 * 水1リットルに対して塩10g(小さじ2弱=約1%濃度)の塩水を作る。 * 平底のバットにしじみを重ならないように並べる。 * ザルを重ねて底から浮かせた状態にし、吐いた砂を再び吸い込ませない構造を作る。 * 水面からしじみの背がわずかに空気に触れる程度の「ひたひた」の水量にする(酸素を取り込ませて活性化させる)。 * 新聞紙などを被せて暗所に置き、夏場は3〜4時間、冬場は5〜6時間静置する。 砂抜きが完了したら、殻同士をこすり合わせるように流水で力強く水洗いし、殻表面のぬめりや付着した泥汚れを完全に洗い落とす。
時間がない時の裏ワザ「50度のお湯」による時短砂抜き
夕食の準備まで時間がない場合に重宝するのが、調理科学でも実証されているしじみの砂抜き 50度のお湯を活用したヒートショック法だ。 48℃〜52℃のお湯にしじみを浸けると、貝は急激な熱ストレスを感じて自己防衛のために水分を勢いよく吸い込み、同時に体内の砂や老廃物を一気に吐き出す。作業時間はわずか5分〜10分程度で完了する。お湯が冷めないよう温度計で計測しながら行い、吐き出された汚れが再付着しないよう最後にしっかりぬるま湯でこすり洗いするのがコツだ。