高山隆: 天才生化学者が解き明かした生命の神秘と科学界への遺産
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がんで亡くなる患者の多くは、原発巣そのものではなく転移が原因だ。高山隆の研究は、この転移プロセスに糖鎖が深く関わっていることを明らかにした。
正常細胞ががん化すると、細胞表面の糖鎖構造が劇的に変化する。シアル酸が過剰に付加され、細胞の性質が一変する。免疫細胞からの攻撃を回避できるようになり、血管内皮細胞への接着能力が変わる。これらすべてが転移を容易にする。
高山の研究グループは1990年代に入ると、特定のシアル酸転移酵素を阻害することで、実験動物におけるがん転移を抑制できることを示した。この発見は創薬研究に新たな標的を提供することになった。
診断マーカーとしての応用研究
基礎研究の成果は臨床現場へと還元された。高山は企業との共同研究を通じて、血液中の糖鎖マーカーを測定する診断システムの開発に携わった。特定のがん種では、糖鎖構造の変化が早期発見の手がかりになる。
卵巣がんや膵臓がんといった発見が遅れがちながん種において、糖鎖マーカーは従来のマーカーを補完する重要なツールとなった。高山の研究成果は、年間数万人の患者の診療に実際に役立っている。