京都の味覚を支え続ける老舗「矢尾定」の極意|仕出し文化と暖簾を守る140年の真髄
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仕出し料理の本質は、「出来立ての温かさ」に頼れない点にあります。時間が経っても風味が落ちず、むしろ味が馴染んで美味しく召し上がれるよう工夫しなければなりません。ここに調理師の真価が問われます。
一番出汁が引き出す素材本来の旨味
味付けの核となるのは、厳選された昆布と鰹節から引かれる出汁です。北海道産の利尻昆布を贅沢に使い、水質に恵まれた京都の水でじっくりと旨味を抽出します。そこに削り立ての鰹節を合わせることで、力強くも品のある黄金色の出汁が完成します。
塩分や醤油に頼りすぎず、出汁の含ませ煮によって食材の奥深い味わいを引き出す。この技法こそが、矢尾定の料理が冷めても風味を損なわない最大の秘密です。
季節の移ろいを映し出す献立構成
京都の食卓は、季節の移り変わりにきわめて敏感です。春には竹の子や菜の花、夏には鱧や加茂ナス、秋には松茸や甘鯛、冬には蕪や千枚漬け。矢尾定の献立は、暦の進みとともに表情をガラリと変えます。