古川周賢の足跡|東大哲学博士から恵林寺住職へ、禅と現代リーダーシップの融合
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古川周賢氏の歩みは、日本の禅僧の中でも異彩を放っている。早稲田大学で哲学の基礎を学んだ後、東京大学大学院人文社会系研究科へと進学。西洋哲学の精緻な概念構成と論理的思索の限界まで没頭し、見事に博士号(哲学)を取得した。
研究者としての輝かしい将来が約束されていたにもかかわらず、古川氏は学術の世界に留まることをしなかった。書物に記された「概念としての真理」と、自らの生命が直面する「生の肉声」との間に生じた違和感。言葉を積み重ねるほどに深まる実存的な渇きを癒やすため、彼は29歳という年齢で一切の社会的立場を捨て、禅門の門を叩いた。
言葉の限界と身体知への欲求
西洋哲学は物事を観察・分析し、言語によって世界を再構築しようとする。しかし、いくら「水」という概念を精密に定義したところで、喉の渇きは癒えない。古川氏が求めたのは、概念の操作ではなく、自己の身体を通じて真理を直接体感する「現成(げんじょう)」の体験であった。論理の頂点を極めた末に到達したのが、不立文字(ふりゅうもんじ)を掲げる禅の世界だったという事実は、現代の知性に対する痛烈な問いかけを含んでいる。