ベトナムの一弦琴ダン・バウに魅せられた演奏家・小栗久美子|音の架け橋が拓く伝統と革新
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旋律の真響を求めて、小栗はベトナムの首都ハノイへと渡った。現地最高峰の音楽教育機関であるベトナム国立音楽院(Vietnam National Academy of Music)に留学。現地の名工や第一線のマスター奏者たちに師事する日々が始まった。
言葉の壁を超えた「音伝」の口承文化
アジアン・トラディショナル・ミュージックの世界では、西洋音楽のような詳細な楽譜に頼らない部分が大きい。独特の「間(ま)」や微妙なスライド、ヴィブラートの振幅の深さは、師匠の音を直接耳で聴き、体感で写し取る口伝のプロセスが不可欠となる。
小栗は日々の厳しいレッスンを通じて、現地独特の音響的ニュアンスを吸収した。ベトナム語特有の「声調(トーン)」とダン・バウの旋律表現が密接に結びついていることを解き明かし、言葉の響きをそのまま弦に流し込むような繊細なタッチを会得したのである。