代々木4丁目。その地名を聞いて即座に具体的な街並みを思い浮かべられる人は、どれほどいるだろうか。参宮橋駅から緩やかな坂を上った高台一帯は、明治神宮の西参道と代々木公園の広大な緑地帯に隣接しながらも、通過交通が極端に少ない特殊なエアポケットを形成している。
鳥の声で朝が始まる。この立地に身を置くと、東京の中心部にいること自体を忘れてしまう。明治神宮の原生林から吹き抜ける冷涼な空気は、真夏の酷暑にあっても街の体感温度を確実に1〜2度下げている。幹線道路から一本奥へ入るだけで現れる圧倒的な静けさは、どんなに防音性を高めた超高層ビルでも再現できない、土地そのものが持つ特権だ。
周囲には由緒ある邸宅や各国の公館が点在し、街灯の光量さえも夜の闇を壊さないよう抑制されている。都会のスピード感から意図的に距離を置くこの場所角は、ただの高級住宅街という言葉では片付けられない、隠れ里のような気品を保ち続けている。