現役当時、日本と韓国のメディアは二人のライバル関係をセンセーショナルに書き立て、あたかも私生活でも敵対しているかのような報道が連日繰り返されました。しかし、不仲説の真相はメディアとナショナリズムが生み出した幻想に過ぎません。
二人はジュニア時代、グランプリファイナルや世界ジュニア選手権の控室で言葉を交わし、身振り手振りで仲良くコミュニケーションを取る間柄でした。しかしシニアに上がり、日韓両国の威信を懸けた対決構造が強まるにつれ、周囲の取り巻きや警備が厳重になり、気軽に言葉を交わすことすら難しい環境へと追い込まれていきました。
浅田真央は後年のインタビューで、「言葉が通じない部分もありましたが、同じ時代を戦う仲間として意識していました」と振り返り、キム・ヨナも「真央がいなければ、今の私のようなスケーターにはなれなかった」と明言しています。張り詰めた緊張感はライバルゆえの集中力によるものであり、根底には常に競技者としての深い敬意が存在していました。