本作を巡っては、ネット上でいくつかの誤認や疑問が散見されます。その最たるものが「7人全員が異なる時代を生きている」という思い込みです。
前述のデータ表の通り、7人は7年周期で召喚されていますが、こころとリオンの2人だけは完全に同じ「2013年度」の同時代人です。リオンは中学生の年齢でハワイへ送られていたため、本来入学するはずだった雪科第五中学校には通っていませんでした。オオカミさまが起こした最大の奇跡は、リオンに「同じ時代の友人」を出会わせることにあったのです。
もう一つの誤解は、「城を出たら記憶が完全に消えるなら、彼らの絆は無意味だったのではないか」という指摘です。確かにエピローグにおいて、城での出来事そのものは夢のように薄れていきます。しかし、オオカミさまはリオンにだけ「記憶を消さないでほしい」という願いの例外措置を残しました。そして何より、記憶の表層は失われても、細胞と心に刻み込まれた「自分はひとりじゃない」という自己肯定感と生存本能は決して消え去りません。
2014年春、新学期の昇降口。ハワイから帰国し、雪科第五中学校に転校してきたリオンが、登校したこころとすれ違いざまに「知ってる」と微笑みかけるラストシーン。記憶の有無を超えた魂の共鳴が提示されることで、物語は完璧な円環を閉じます。