インターネット上では長年、本事件にまつわる様々な都市伝説や誤認情報が拡散されています。その最たるものが「公園の池から頭部が上がった」「犯行声明が出されていた」という類の話ですが、これらはすべて事実無根です。
一方で、実在の未解決事件との奇妙な符号として語られるのが、2017年9月に調布市の深大寺参道脇で発見された頭蓋骨の存在です。井の頭公園から南西へ約5キロメートルの距離にあるこの現場で見つかった頭骨は、下顎部分が欠損し、頭頂部が水平に切断されていました。年代や切断の傾向から「井の頭事件の被害者の頭部ではないか」とネット上で大きな関心を集めました。しかし、DNA鑑定や法医学的検証の結果、事件との直接的な連関を裏付ける決定打は公表されておらず、単なる別の変死事案として扱われています。
また、「完全犯罪を狙った犯人が公園に捨てた」という点についても見直す必要があります。本当に完全犯罪を目指すのであれば、山中深くに埋めるか海洋投棄を選ぶはずです。ゴミ箱という回収サイクルの早い場所に捨てたのは、「ゴミ収集車で焼却場へ運ばせ、証拠ごと灰にする」計算だったのか、それとも「誰かに見せつけるための誇示」だったのか。この遺棄場所の選択こそが、犯人の心理的特異性を解く最大の鍵とされています。