日本人人質事件を含む一連の凶行により、国際社会の対IS包囲網は一気に強化されました。米国主導の有志連合による激しい空爆と、イラク治安部隊、シリア民主軍(SDF)などの地上作戦が連動し、かつてイラクとシリアにまたがる広大な領域を支配した「カリフ制国家」は徐々に追い詰められていきました。
2017年7月にイラク第2の都市モスルが解放され、同年10月にはISが「首都」と称していたシリアのラッカが陥落。そして2019年3月、シリア東部バグズの最後の拠点が制圧されたことで、ISの物理的な領土支配は完全に終焉を迎えました。同年10月には最高指導者アブバクル・バグダディが米軍特殊部隊の急襲を受け自爆死しています。
しかし、2026年現在においてもテロの脅威が完全に消滅したわけではありません。物理的な国家を失ったISは、以下のような形態に変容して潜伏を続けています。
- シリア・イラクの砂漠地帯での地下セル活動:残党がゲリラ戦や散発的な襲撃を展開。
- 支部組織の台頭:アフガニスタンを拠点とする「ISホラサン州(ISKP)」や、アフリカ中央部・サヘル地域の支部組織が勢力を拡大し、大規模テロを引き起こしている。
- オンラインを通じたローンオフェンダー(単独実行犯)の扇動:領土がなくともネット空間での過激化誘導は続いており、欧米やアジア圏での突発的なテロリスクが残存。