インターネット上の簡易的な情報やSNSの短尺動画を見様見真似で行った結果、「テーピングを貼ったら逆に内くるぶしの痛みが激化した」と駆け込んでくる患者は少なくありません。そこには、生体力学(バイオメカニクス)を無視した致命的な誤解が存在します。
最大の誤りは、「テープを100%の力で限界まで引っ張って貼ること」です。固定力を高めたい一心で強力に引っ張ると、皮膚に強烈な剪断応力が加わって水疱や深刻なかぶれを引き起こすだけでなく、炎症を起こしている後脛骨筋腱を骨に向かって過剰に押し付け、かえって摩擦を増大させてしまいます。テンションをかけるのは「アーチを持ち上げる足裏からくるぶし通過部分」のみであり、テープの貼り始めと終わりはテンション0%で置かなければなりません。
もう一つの典型的なNGパターンは、「足先をダランと下げた(底屈した)状態で貼ってしまうこと」です。足首が伸びた状態でテープを密着させると、立ち上がって足首が90度になった瞬間にテープが腱の走行を妨げ、過剰な突っ張りストレスを生み出します。必ず「足首90度(背屈)+軽度内反(足裏を少し内側に向ける)」のポジションを維持して貼らなければ効果は得られません。
また、「内くるぶしの痛む部分だけに小さくテープを貼る」行為も無意味です。後脛骨筋腱炎の痛みはあくまで結果であり、本質的な原因は足裏のアーチ低下とふくらはぎ深層筋の過緊張にあります。患部そのものを押さえつけるのではなく、患部にかかる牽引力を逃がす構造的なアプローチが欠かせないのです。