世間を大きく揺るがしたGACKT仮想通貨トラブルの発端は、2017年末に発表された仮想通貨プロジェクト「SPINDLE(スピンドル)」に遡ります。当時、暗号資産市場は世界的なICO(イニシャル・コイン・オファリング=新規暗号資産公開による資金調達)ブームの絶頂期にあり、著名人が実名でプロジェクトに参画することは極めて異例の事態として大きな注目を集めました。
一般的なタレントのCM起用とは異なり、GACKTは本名である「大城ガクト」名義で公式ウェブサイトにコアメンバーの一人として堂々とクレジットされました。本人がブログやメディアで「世界を変えるプラットフォーム」「誰もが平等に投資できる未来」と熱弁を振るったことで、暗号資産の予備知識を持たない一般ファンや個人投資家がプレセールに殺到。いわゆる「ガクトコイン」として約100億円規模の資金を集めたと報じられました。
しかし、事態は急速に暗転します。2018年5月、スピンドルが海外の暗号資産取引所5社に上場した直後、価格は一時的に急騰したものの、わずか数日で大暴落を引き起こしました。さらに、プロジェクトの企画・運営を手掛けていた「株式会社Black Star & Co.」に対し、金融庁が無登録営業の疑いで行政処分(資金決済法に基づく警告・立入検査)を実施。この事実が報道各社によって大々的に報じられたことで、プロジェクトの信用は完全に失墜しました。
投資元本を失った出資者たちから「騙された」「プロジェクト幹部だけが上場直後に売り抜けたのではないか」という怒りの声が噴出。これが瞬く間に「ガクト 詐欺」というセンセーショナルな言説へと形を変え、ネット空間を中心に激しい批判が渦巻くこととなりました。