大手音楽バラエティ番組やネットの掲示板、SNSの愛好家コミュニティにおいて、玉置浩二は常に「現役最強の歌唱力」の名を欲しいままにしてきました。しかし、リスナーの間では興味深いパラドックスが議論の的となっています。それが「玉置浩二の生歌はCD音源を遥かに凌駕してしまう」という現象です。
ライブツアーやフルオーケストラを従えたビルボードクラシックスの公演に足を運んだファンからは、「音盤の完成度に感動して現地へ行ったら、スケール感が桁違いで腰を抜かした」「録音時のピッチやリズムの完璧さを保ちつつ、ライブでは感情の起伏がダイナミックに炸裂する」という驚嘆の声が相次いでいます。スタジオ録音された音源は、彼のような怪物級シンガーにとって“抑制された安全圏の歌唱”に過ぎないのではないか、という見解すら語られるほどです。
それでもなおベスト盤のCDが愛され続ける理由は、玉置浩二がスタジオレコーディングで見せる「極限の緻密さ」にあります。数ミリ単位のマイク距離をコントロールし、歌声の囁きからシャウトまでを計算し尽くしたスタジオマスターは、ライブの即興性とは異なる純度の高い芸術作品です。特に「メロディー」の歌い出しにおける息を呑むような静謐さは、静まり返った部屋のスピーカーで正座して聴き届けるにふさわしい緊張感を湛えています。