市場関係者の間で一致している見解は、「2026年代半ばを境に防衛セクターの投資ロジックが180度転換した」という点です。長年にわたり防衛産業は「薄利で制約の多い採算度外視のボランティア事業」と揶揄されてきましたが、現在は名実ともに極めて収益見通しの高い成長産業へと位置づけ直されています。株価を押し上げている主な背景には、明確な3つの構造変化が存在します。
第1の要因は、防衛力整備計画に伴う発注の本格化です。2026年度からスタートした5カ年計画(総額約43兆円)は、構想段階を終えて具体的な契約締結段階へと移行しました。防衛省の契約実績データを見ても、スタンド・オフ防衛能力(長射程ミサイル)や統合防空ミサイル防衛能力の整備に関連する大型調達が相次ぎ、主要メーカーの防衛事業受注残高は過去最高水準を更新し続けています。
第2の要因は、2026年10月に施行された防衛産業強化法(防衛生産基盤強化法)による収益性の抜本的改善です。重工幹部が当時の決算説明会で「防衛事業は利益率の予見性が著しく向上した」と語った通り、従来の原価算定方式が見直され、企業の原価低減努力や工程管理能力に応じて最大15%の営業利益率が認められるインセンティブ制度が定着しました。これにより、防衛事業は「利益の出ないお荷物部門」から「景気変動に左右されない確実な高収益エンジン」へと変貌を遂げたのです。
第3の要因は、防衛装備移転三原則の運用指針改定による輸出市場の開放です。英国・イタリアと共同開発を進める次期戦闘機(GCAP)の第三国輸出が容認されるなど、長年閉ざされていた海外市場への販路拡大が現実味を帯びてきました。国内市場だけに依存していた日本企業の防衛事業が、グローバルなサプライチェーンへ参画するというシナリオが、国内外の機関投資家による積極的な買いを呼び込んでいます。