「なぜ、これほど需要があるのに市販化されないのか?」という疑問は当然湧く。緊急避妊薬(アフターピル)の薬局販売トライアルなど、医療用医薬品から一般用医薬品へのスイッチ(OTC化)の議論は近年活発化している。しかし、ED治療薬に関しては、依然として厚生労働省側の警戒感が強い。
最大の理由は、禁忌薬の存在と心血管系へのリスクだ。狭心症の治療で使われる硝酸剤(ニトログリセリンなど)とED治療薬を併用すると、血圧が急激かつ致命的なレベルまで低下する危険がある。万が一、ドラッグストアで誰でも気軽に買えるようになれば、持病を隠したまま服用し、重大な事故につながりかねない。
日本医師会や専門医の間でも「医師による血圧測定や問診なしでの販売は時期尚早」という見解が根強い。海外の一部、例えばイギリスやニュージーランドなどでは薬剤師の対面スクリーニングを条件に店頭販売(Pharmacy Medicine)が解禁されている国もあるが、日本国内の慎重なスタンスは2026年を迎えた今も崩れていないのが現状だ。