なぜ多くの旅行者やビジネス客が、遅いと分かっている山手線に吸い込まれてしまうのか。そこには東京駅特有のプラットホームの階層構造と心理的トラップが存在します。
東京駅山手線乗り場は、在来線地上ホームの中央部、4番線(内回り:品川・渋谷方面)と5番線(外回り:上野・池袋方面)に位置しています。東海道新幹線の改札口や八重洲口、丸の内中央口から同じ平面フロアの跨線橋を渡ってアクセスしやすく、緑色の「JR 山手線」という案内板が視界に飛び込んできやすい構造になっています。
一方、最速ルートである中央線快速の乗り場は1・2番線ホームですが、このホームは他の在来線ホームより一段高い「高架要塞」のような位置に独立して存在しています。長いエスカレーターを上らなければホームに到達できないため、急いでいる利用者ほど「すぐ目の前にある4番線・5番線の山手線」へ無意識に足を踏み入れてしまう現場の動線心理が確認されています。
到着後の新宿駅行き方にも落とし穴があります。山手線が到着する新宿駅14番線(内回り)や15番線(外回り)は、東口や西口、南口へ通じる階段が分散しており、時間帯によっては降車客の激しいボトルネックが発生します。一方、中央線快速が発着する7・8番線(上り)および11・12番線(下り)は、南口や甲州街道改札へのアクセス階段が広く取られており、降車後の脱出スピードでも中央線に軍配が上がります。