電気の短絡とは?大電流と火災の恐怖から地絡・漏電との違いを解説

電気の短絡とは?大電流と火災の恐怖から地絡・漏電との違いを解説

電気の短絡とは?大電流と火災の恐怖から地絡・漏電との違いを解説について知っておくべき 注意点を厳選して解説いたします。

新品の電線や電源コードは、塩化ビニルやポリエチレンといった「絶縁体(電気を通さないゴムや樹脂)」で厳重に覆われており、内部の銅線同士が触れ合うことはありません。では、なぜ家庭やオフィスで突然ショートが発生するのでしょうか。製品評価技術基盤機構(NITE)の事故調査報告書および東京消防庁の火災原因データを紐解くと、典型的な絶縁劣化による事故経緯は大きく3つのルートに集約されます。

1. 半断線(はんだんせん)と家具踏みつけによる物理的破壊

最も発生件数が多いのが、電源コードの過度な折り曲げや、ベッド・キャスター付きチェアによる踏みつけです。コードの内部には数十本の極細の銅線(素線)が束ねられていますが、繰り返しの負荷でそのうちの半分ほどがちぎれる「半断線」という状態になります。残った数本の細い銅線に全ての電流が集中して異常発熱し、周囲のビニル被覆を内側からドロドロに溶かします。やがて溶けた被覆を突き破ってプラスとマイナスの銅線が接触し、激しい短絡火災へと至ります。

2. トラッキング現象(炭化導電路の形成)

冷蔵庫やテレビの裏など、何年も差しっぱなしのコンセントとプラグの隙間に綿ボコリが溜まり、そこに梅雨時や結露の湿気(水分)が加わることで発生する現象です。2本のプラグ刃の間で微小なスパーク(火花放電)が繰り返されると、プラスチック樹脂の表面が焦げて「炭(カーボン)」に変化します。炭は電気をよく通す導体であるため、やがて2本の刃を繋ぐ「炭の橋(トラック)」が完成した瞬間、コンセントにコードを差したままの状態で完全な短絡(ショート)が発生します。

3. ネズミ等の小動物による咬害・DIY施工不良

築年数の経過した戸建て住宅や飲食店の天井裏では、ネズミが歯を研ぐためにVVFケーブル(屋内配線用ケーブル)をかじり、被覆を剥がして銅線同士をショートさせる事故が後を絶ちません。また、近年急増しているのが、無資格者によるコンセント交換やスマートホーム機器の直結DIYにおいて、電線の差し込み不足や被覆のむきすぎによってボックス内で短絡を起こすケースです。

【ブレーカーが落ちる原因】過電流遮断器の役割と0.01秒の防衛線

こうした短絡が発生した際、住宅が丸焼けになるのを防ぐ最後の砦が、分電盤に並んでいる過電流遮断器の役割(配線用遮断器・安全ブレーカー)です。

そもそもブレーカーが落ちる原因には、「①家電の使いすぎ(過負荷)」「②漏電(地絡)」「③短絡(ショート)」の3パターンが存在します。過電流遮断器の内部には、異なる2種類の金属を貼り合わせた「バイメタル」と、強力な「電磁石(コイル)」という2つのメカニズムが組み込まれています。

  • 使いすぎ(20A〜30A程度)の時:バイメタルがジュール熱でゆっくりと曲がり、数秒〜数分かけてレバーを引き落とします(熱動式)。
  • 短絡(数百A〜数千A)の時:バイメタルが温まるのを待っていては家が燃えてしまうため、大電流によって瞬時に発生する強力な磁力を利用し、電磁石の力で約0.01秒〜0.02秒(100分の1秒)という超高速で強制的に回路を遮断します(電磁引き外し式)。

つまり、家電のスイッチを入れた瞬間や、プラグを差し込んだ瞬間に、間髪入れず「バチン!」とブレーカーが落ちた場合は、単なる使いすぎではなく「回路のどこかで短絡(ショート)が発生し、電磁石が緊急作動した」と判断するのが鉄則です。

井上 凛
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井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。