航空業界の最新事情を知る上で見落とせないのが、機内食の事前指定サービスと特別食(スペシャルミール)に関するネット上の誤解や盲点です。
ネット上の裏技情報として、「ベジタリアンミールやフルーツミールなどの特別食を事前にリクエストしておくと、通常の配膳よりも早く優先して運ばれてくるためおすすめ」という体験談が広く拡散されています。確かに、特別食は誤配膳を防ぐ目的から、一般席のカートサービス開始前に個別に届けられる運用が一般的です。しかし、ここには看過できないデメリットが存在します。
第一に、同行者と一緒に搭乗している場合、自分だけ先に食事が届いて食べ終わる頃に相手の食事が配膳されるという食事タイミングのズレが発生します。第二に、特別食は徹底してアレルゲンや動物性脂肪、塩分を排除して調理されているため、人によっては「味付けが薄すぎて物足りない」「パサついていて完食できなかった」と後悔するケースが後を絶ちません。健康上の必要性がない限り、単に「早く食べたい」という理由だけで指定するのは賢明な選択とは言えません。
さらに、全日空(ANA)や日本航空(JAL)をはじめとする主要キャリアでは、食品ロス削減と乗客の利便性向上を目的に、出発の24時間前まで専用アプリやWebサイトからメインディッシュを選択できるシステムを導入しています。「機内食を食べずに睡眠を優先したい」という乗客向けに「機内食不要(Meal Skip)」の選択肢を設ける航空会社も増加しており、従来の「乗ってからカートが来るのを待つ」というスタイルそのものが過去のものになりつつあります。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
変化を続ける国際線機内食の環境において、どのようなサービスを選び、どのように立ち回るべきか、旅行者のタイプ別に明確な判断基準を提示します。
【事前指定や特別食の活用をおすすめできる人】
- 食物アレルギーや宗教上の食事規定(ハラール、コーシャ等)を厳格に守る必要がある人
- 後方座席を予約しており、希望のメインディッシュが配膳順によって品切れになるリスクを確実に避けたい人
- 長距離夜間便で、食事を素早く済ませて少しでも早く睡眠時間を確保したいビジネス渡航者
【機内での当日選択をおすすめする人(事前指定に慎重になるべき人)】
- その日の体調や搭乗直前の空港ラウンジでの飲食状況に合わせて、柔軟にメニューを決めたい人
- 機内のワゴンサービスやCAとの旅情あるやり取りそのものをフライトの醍醐味として楽しみたい人
- 薄味の健康食ではなく、航空各社が工夫を凝らしたフルフレーバーの看板機内食を味わいたい人