インターネット上の情報を鵜呑みにすることで生じる最大の盲点は、「花言葉は絶対的な固定定義である」という思い込みです。
第一に、花言葉は「色」「咲き方」「本数」によって真逆の意味に変化します。先述のバラを例に挙げても、赤色は「愛しています」ですが、黄色は「友情」と同時に「愛情の薄れ」「嫉妬」を意味し、一輪のバラは「あなたしかいない」、15本のバラは「ごめんなさい(謝罪)」という意味を持ちます。誕生花の日付だけで選んだつもりが、本数や色彩の組み合わせによって、無自覚に歪んだメッセージを発信してしまうケースがあるのです。
第二に、「ネガティブな花言葉を持つ花=悪質な花」という短絡的な誤解です。植物そのものに罪はなく、西洋絵画の象徴体系(アトリビュート)やシェイクスピア劇などの古典文学において、登場人物の哀切な運命を描くための舞台装置として花が使われてきたに過ぎません。裏の花言葉を知ることは、文化や文学の深奥に触れる知的体験であり、むやみに忌避する必要はないのです。