店名にある「魚籠(びく)」とは、川釣りで捕まえた魚を入れておく竹製の籠のことだ。かつてこの地域では、竹細工の職人たちが自らの手で美しく頑丈な魚籠を作り上げ、生活の道具として愛用してきた。店内のインテリアや照明のシェードには、そうした伝統的な竹細工の技法が随所にあしらわれている。
しなやかな竹の網目から漏れる温かい光が、木造の太い梁や土壁をやさしく照らし出す。古くから受け継がれてきた職人の手仕事と、大自然の恵みが調和した空間。一歩足を踏み入れただけでどこか懐かしく、温かい気持ちに包まれるのは、そこに人間の手で作られた確かなぬくもりが宿っているからだろう。