1958年生まれの奇跡は、日本国内のドメスティックな現象にとどまりません。世界のポピュラー音楽史上、最も影響力を持った2大スターであるマイケルジャクソンとマドンナは、わずか2週間足らずの差で同じ1958年8月に誕生しています。さらに同年の6月には、同じく80年代ポップスの革命児であるプリンス(2016年逝去)も生を受けていました。
1982年にリリースされたマイケルのアルバム『Thriller』は、それまで白人ロック一色だったMTVの放送枠をこじ開け、人種隔離の壁を打ち破りました。音楽を「聴くもの」から「見る総合芸術」へと進化させた彼のムーンウォークやショートフィルム仕立てのミュージックビデオは、現代のYouTubeやTikTokに直結する映像カルチャーの始祖となっています。
同月に生まれたマドンナは、1984年の『Like a Virgin』で世界に強烈なカウンターを浴びせました。男性優位だった音楽産業において、自らのセクシュアリティやファッション、宗教的タブーを戦略的に表現手段へと昇華し、女性アーティストがビジネスの主導権を握る道を切り開いたのです。欧米のポップス史において、1958年という年はまさに「ポピュラー音楽の神々が降臨した年」として語り継がれています。